型染め、注染などによるオリジナルの染布を制作している松永武さんと高井知絵さんご夫婦によるユニット「kata kata」と小宮商店がコラボレーションした晴雨兼用傘が2月22日(木)に新発売。
発売に先駆け、私たちは神代団地商店街の一角にあるkata kataさんのショップ&ギャラリーにお邪魔し、取材をさせていただきました。 Setting by Iedokoro / Movie & Photo by Orita / Photo & text by Tagawa 通りかかっただけで目を奪われるショップ&ギャラリーに足を踏み入れると、穏やかな雰囲気が漂うおふたりとたくさんの作品たちが迎えてくださいました。 日々の生活の中で感じる全ての事柄に物語を想像しながらデザインをしていると、笑顔で話してくださる高井さんと、頷く松永さん。
今回は、葉っぱのデザインを選ばせていただき、それを小宮商店の傘に合うように特別にリデザインしていただきました。 普段から「型染め」や「注染」で作品づくりをしているというおふたり。 まず、紙の上にひとつひとつ丁寧に彫った型紙を置き、防染糊(のり)をヘラで均一にのばします。
糊を塗り終えたら、型紙を丁寧にはずして乾かします。
それに伴い、オンラインショップと東日本橋ショップ限定で2月9日(金)より予約受付を開始いたします。
あたたかくて、心が躍るデザイン
今回のコラボに際し、様々なデザインの誕生秘話や制作方法を伺い、デザイン案を思いついた時に書き溜めているというノートを見せていただきながら、今にも動き出しそうなたくさんの動物や植物たちに心が躍ります。
おふたりが生み出す作品からは、あたたかさが感じられるのはもちろん、どこか遊び心あふれるものばかりで、見ているだけで気持ちが明るくなります。
そこに私たちが色をのせていき、ついに「kata kata×小宮商店」が実現しました。
「型染め」の表現方法
今回は特別に、松永さんに型染めの様子を見せていただきました。
防染糊はもち粉と米ぬかから作られ、塗った部分に染料が入るのを防ぐ役割があります。
しっかりと乾いたら、次は糊がのっていない部分に色を入れていきます。
色となるのは、大豆を一晩水に浸け細かくつぶしたものを布でこした豆汁と顔料をよく混ぜてできたもの。
それを刷毛につけ、丁寧に塗っていきます。
顔料の配合次第で色が変わってしまうため、イメージした色をだすのが難しく、これには長年の経験が必要。
さらに濃さを調整するために、細やかな塗りかさねをしているのだそうです。
こうして出来上がったデザインを、次は山梨の「ほぐし織」技術で織り上げていき、傘生地に仕立てていきます。
ほぐし織も同じく型を作るところから始まりますが、型染めや注染とはまた違った、捺染と呼ばれる方法で表現していきます。
捺染は、糊と染料を混ぜたものをヘラで伸ばして染めていくため、色ごとに型を変え、重ねて染めていきます。
また、今回は小宮商店でも初めて緯糸に綿糸(コットン糸)を使用したため、ほぐし織の風合いと相まって、より優しい雰囲気が漂う傘になりました。
今回のコラボレーション企画を通し、おふたりの普段のものづくりやデザイン考案への想いを知ることができました。
また、多くの時間をともに過ごすことで、その想いと、小宮商店の想いが重なった貴重な機会となりました。
松永さん、高井さん、お忙しい中ありがとうございました。
次回は傘生地が織られる様子について、詳しくお話しさせていただきます。
注染と捺染という異なる技法で表現するそれぞれのデザインの表情の違いをぜひお楽しみに。
(左)松永武さん、(右)高井知絵さん
2004年にオランダの芸術アカデミーに短期留学し、その後型染めユニットkata kataとしての活動をスタート。その後は国内外で作品を発表し、近年は企業へのデザイン提供にも取り組んでいる。