2022.06.03今日の傘工房
ものづくりをつくるモノ「目打ち」
こんにちは、小宮商店工房担当の田中です。
前回に引き続き「ものづくりをつくるモノ」を切り口に傘作りに必要な道具に関してご紹介いたします。
こちらは穴をあけたり印をつけるために用いられる「目打ち」と呼ばれる道具です。
ホームセンターなどでも簡単に手に入れる事ができます。
前回の天紙抜きとは異なり、ものづくりを経験された方なら手にしたことのあるはずのポピュラーな道具です。陣笠を取り付けるビスの穴あけなどに使用され、傘作りにおいても欠かせません。
画像にある目打ちは全て1人の職人さんの持ち物です。
長さ、太さ、鋭さが微妙に異なるものの、これだけの数を所有しなければ仕事ができないとなるとなかなか揃えるのは大変です。
そもそもがざっくりとした作りのものだそうで、はじめから手になじむものに巡り合うことは稀だそうです。
鈍った先端をその都度研磨する中で、やがて長さが変わり重心も変化します。
微妙な変化の中で自身の手の形・握り方・使い方に道具の方から寄り添ってきてくれるものになるとのことでした。
数が増えていくことも納得、ひとつひとつの目打ちが「モノ」にかけた時間と想いの結晶にも思えてきます。
これは使えないな、と思ってあきらめた一本も久しぶりに手に取ると使い易かったりするそうです。
「こういうのは逆でね、ようやく手が馴染んできたなって道具の方が思っているよ」
楽しそうに笑う職人さんの表情がとても印象的でした。