山梨工場見学〜甲州織が出来るまで
こんにちは。
このところTV放映などの影響もあり、お客様に傘作りや傘職人について興味をもっていただき、大変嬉しいです。
ところで、小宮商店の代表的な「かさね」シリーズはじめ、小宮の傘を作るのにかかせないのが【甲州織】の「傘生地」。 織物の名産地として400年の歴史を持つ山梨県で、昔と変わらぬ工程で織られています。
中でも、洋傘専用の(糸を先に染めてから織る)先染めで、2本の経(たて)糸と1本の緯(よこ)糸を駆使し、小幅の生地が織られているのは、今では山梨の【甲州織】のみといっても過言ではないかもしれません。
そんな【甲州織】ですが、驚くほどの分業で出来ているのをご存知でしょうか?
「機(はた)屋さん」で織られる前に、染めは「染色屋さん」、繰返しボビンに巻き直す「繰返し屋さん」、ほぐし織りの経糸に(柄を付ける為)捺染(なっせん)作業を行う「付け屋さん」、最後に撥水・耐水加工を施す「整理屋さん」などなど… 実に多くの工程や人の手を経て作られているのです。
今日は、先日私たちスタッフが山梨の工房見学に行った様子を、写真と共に簡単にご紹介したいと思います。
(詳しくは後日、傘辞典などでご紹介いたします)
①「染色屋さん」の【向原染色さん】で織る前に糸を染めます。
◆美しい糸。この状態を「綛(かせ)」と呼びます↓
◆高圧蒸気を使用して染められます。
この小さな穴から布地を染める染料(分散染料)が出ます。↓
②繰返し屋さんで綛(かせ)からボビンに巻き、それを更に5千本〜1万本‼ に広げて巻き直します。
③小宮の傘「和花柄」の柄を付けます。
2本の経(たて)糸をよって「仮織り屋さん」で仮織りされた生地に、「型屋さん」が作った染型を使い、捺染作業する職人さん。
◆仮織りの糸見えますか? ↓
捺染は、濃い色から順に染めていきます。
つまり9色あれば9種類の型があり、9回捺染を繰り返す大変な作業です。
④「機屋さん」にて。シャトル織機で「和花柄」を織ります。 ↓
シャトル織機については、途中で訪れた「山梨県産業技術センター」さんのブログがとても分かりやすいので、コチラ をご覧ください。
⑤反物に【㈱新田整理】さんで撥水・耐水加工を行います。
こうして、今では希少となってしまった傘専用の【甲州織】はたくさんの職人さん達の手を経て、やっとのことで小宮商店の傘職人さんの元にやってきます。
小宮の傘に使われている【甲州織】。
もしも、小宮の甲州織の傘をお持ちでしたら、その傘が出来るまでの目に見えないストーリーや職人の方々に思いを馳せていただけると嬉しいです。
こんなにたくさんの人の温かい気持ちがこもった傘なら、きっと少しだけ雨の日が楽しくなるはずです!